WordPressにおける転送データの削減による移行にかかる実行時間の短縮

東京工科大学のクラウド・分散システム研究室では, WordPress サイトを運用し, 研究室に所属する学生がブログを執筆している. このサイトは毎日フルバックアップを作成し, バックアップデータをNASに保存している. アクセス数の増加に対応し, Web サイトに継続的にアクセスできるように, 管理者はWebサイトのデータを移行する. 課題は, Web サイトのデータを移行元のUbuntu サーバー(以後, 移行元サーバーと記述する)から移行先のUbuntu サーバー(以後, 移行先サーバーと記述する)へ移行する際に時間がかかることだ. 提案は,WordPress の記事を執筆した際に生成されるリサイズされた画像のうち,記事に使用されている画像のみを移行の実行対象とし, 移行するファイルの転送量を減らすことで,移行時の時間を短縮を行った.評価は, 提案適用前と提案適用後における, 移行時のファイルの転送を10 回行い, 実行時間を比較した. 実験環境では, 移行元サーバーからNAS を経由して移行先サーバーへWeb サイトのデータを転送した. 結果として, 提案適用前において, 移行元サーバーからNAS へ移行した際にかかる時間の平均は約92.6 秒であるのに対して, 提案適用後は約4.4 秒となり, 約95.1%削減できた. また, 提案適用前において, NAS から移行先サーバーへ移行した際にかかる時間の平均は約157.1 秒かであるのに対して, 提案適用後は約9.5 秒となり, 約93.9%削減できた. 移行する時間を短縮することによって, ダウンタイムが短くなるため, Web サイトに掲示されている項目を閲覧したい人にとっては, 閲覧するまでに待機する時間が短くなる. ...