マルチホップネットワークにおけるクラスターヘッドをクライアントモードにすることによる消費電力削減
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- ラベル: CDSL-TR-164
- 公開日: Dec. 05, 2023
- 更新日: Dec. 05, 2023
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河川や山間部の屋外の環境監視では,地理的要因でセンサーノードに安定した電源供給設備を用意できるとは限らないため,バッテリーを搭載したセンサーノードでマルチホップネットワークを構築して監視を行う.農地の環境監視では,センサーノードが農作物の画像データを収集し,病害虫の発生予測を可能にする.センサーノードは容量の限られたバッテリーを搭載しているため,消費されるエネルギーを削減する必要がある.AP モードを起動する中継ノードの消費電力は他のノードと比較して大きくなり,動作可能時間は短くなる.課題は,中継ノードが電池切れにより停止すると,中継を必要とするノードが孤立することである.本稿では,クラスターメンバーとクラスターヘッドの消費電力量差を縮めることを目的とする.提案では,クラスターメンバーがクラスターヘッドの代わりにAP モードを起動することで,クラスターヘッドの消費電力を削減する.実験では,既存手法と提案手法の両方で,クラスターメンバーからクラスターヘッドに画像データを送信して,クラスターヘッドとクラスターメンバーの消費電力量を測定した.送信画像データサイズは98[kB],送信間隔は1[min] である.それぞれのノードは送信終了後にsleep 状態に移行する.実験の結果,1 秒毎の平均消費電力増加量では,クラスターヘッドは0.44[W/s] から0.37[W/s] まで約16%減少した.ただし,クラスターメンバーは0.23[W/s] から0.25[W/s] まで約8%増加した.提案手法ではクラスターヘッドとクラスターメンバーの1 秒あたりの平均消費電力量の差は既存手法に比べて約47%小さくなった. ...