プロジェクトの各工程の延期時間にもとづく優先度の決定によるファイル送信時間の増加の抑制

映像制作会社の社員は,業務の分担や共同作業のためのファイル共有やバックアップのためにファイルサーバにファイルを送信する.その際に,複数の社員のファイル送信が重なる場合がある.課題は,書き込みが競合して,時間あたりの書き込み量が減少することによって各社員のファイル送信時間が増加することである.本稿の提案手法では,各工程の延期時間から延期前の工程時間を割り,さらにプロジェクト全体の時間で割る形で優先度の比較を行うための値の算出を行う.工程が延期されている程,値は大きくなる.算出した値を比較した際に,値が大きい順に優先度が高くなるように決定する.それをもとに,優先度が一番高いファイルの送信以外を中断することで書き込みの競合を無くして,優先度が高いファイルの送信時間の増加を抑制する.評価として,提案手法を用いた際と用いていない際の各社員のファイル送信時間を比較する.実験回数はそれぞれ10 回行い,平均をとった.結果として,約14GB の動画ファイルにおいて優先度が最も高いファイル送信時間を比較すると,社員数が2 人の場合のファイル送信時間が約41%,社員数が3 人の場合のファイル送信時間が約47%,社員数が4 人の場合のファイル送信時間が約64%削減した. ...