IoTデバイス間の通信におけるアクセスポイントとクライアントの送信出力を変更することによる省電力化

Internet of Things (IoT) は, 農業分野で利用され, IoT デバイスが農園に設置されている. デバイスが土壌の温度, 水分量, 水素イオン指数(pH) や気温, 光量などの環境データを継続的に取得している.農業で使用されるIoT デバイスはバッテリー駆動で運用されるため, 省電力化が重要な課題である. 本稿では, IoT デバイス間の通信におけるアクセスポイント(AP) とクライアント(STA) の送信出力を変更することで, 省電力化を図る手法を提案した. 基礎実験では, 送信出力の変更による通信が可能な距離やパケットロス率の変動を評価した. その結果, RSSI が-90[dBm] を下回ると通信が行えなくなり, パケットロスは発生しなかった. また, 評価実験では, AP とSTA の通信距離を50[m] と100[m] 離して実験を行った. 送信出力を最大の21[dBm] にした場合と, 提案手法に基づいて送信出力を変更した場合の消費電力を比較した. その結果, AP の削減電力量は50[m] では21[dBm] で421.24[mW] から2[dBm] の415.77[mW]になり, 約5.47[mW] 削減された. 削減率は約1.29 %であった. 100[m] では21[dBm] の421.24[mW] から15[dBm] の約416.39[mW] で約4.85[mW] になり, 削減率は約1.15 %であった. STA の削減電力量は50[m]で, 21[dBm] の約180.51[mW] から2[dBm] の約192.54[mW] となり, 約12.03[mW] 増加し, 削減率は約6.66 %増加した. 100[m] では21[dBm] の約180.51[mW] から15[dBm] の192.19[mW] となり約11.68[mW]増加し, 約6.47 %増加した. ...