バックアップのディスク読み取り速度の制限による許容時間内のリストア完了
- 著者:
- ラベル: CDSL-TR-218
- 公開日: Dec. 22, 2024
- 更新日: Dec. 22, 2024
- ダウンロード数: 0
SaaS アプリケーションの開発者は過去1 年以内に約53 %の割合でデータ紛失や破損をしたことがあり,深夜までの長時間労働が人為的ミスの原因となっている.データを紛失した際はバックアップされていたデータをリストアする必要がある.企業は業務の妨げにならないようにするため,業務時間外の深夜にバックアップを行う.したがって,深夜に紛失したデータをリストアする場合,バックアップと時間帯が重複する.課題は,バックアップが期限を超過しない条件でバックアップ中のリストア完了時間を短縮する必要があることである.提案方式では,問題解決や作業回復に費やした時間がシステムの安定時に想定される平均的な完了時間と比較して38 %増加するとフラストレーションを抱えることから,データサイズごとにリストアを単体で行った場合の完了時間を算出する.算出した時間に38 %を加えた時間を許容時間とし,リストアが許容時間内に完了するようにバックアップにおけるディスク読み取り速度を制限する.そのため,データサイズにもとづいてリストアに必要なディスク読み取り速度を算出する.この速度を確保するために,バックアップの制限速度は,最大のディスク読み取り速度とリストアに必要なディスク読み取り速度の差とする.評価実験では,提案方式をもちいてバックアップ中にリストアを行った際,リストア完了時間が許容時間内(約190 秒) に収まり,リストア完了時間を短縮できた.提案方式無しのリストア完了時間は約380 秒,提案方式有りのリストア完了時間は約187 秒で完了した.一方,バックアップ完了時間は提案方式無しの約415 秒から提案方式有りは約553 秒であり,約33 %増加したが,バックアップの期限内に完了した.さらに,本稿のユースケースで提案方式をもちいた場合,データサイズが約556GB 以内であれば追加のバックアップ要求をされてもバックアップの期限を超過しない見込みとなる. ...